【ゴースト施工ショップ 探訪レポート No.01 】~カーフィルムの裾野広げるきっかけに~ ビーパックス@京都

~カーフィルムの裾野広げるきっかけに~ ビーパックス@京都

カーフィルム製品の中でも極めて高い光学技術の上に成り立ち、登場以来、ユーザー様から絶大な人気を誇る「ゴースト」シリーズ。一方で、その人気の秘訣でもある高いファッション性(反射特性)ゆえ残念ながら現状では、ユーザー様はもとより業界内でも合法的な施工ができることを知らない、逆に違法な状態で施工してしまっている、といったケースも一部で見受けられます。

その中でブレインテックでは、法令遵守したゴーストシリーズの施工を通じ、「ビジネスとして活用」しつつ「ユーザー様にも適切な価値を提供」しているショップ様をご紹介。第1弾では、長年のカーフィルム施工に加え、その有益性や合法施工に関する業界内外への情報発信に精力的に取り組んできた京都ビーパックスを訪問してきました。
プロショップ様におけるゴーストの取り扱い方、ユーザー様における施工ショップの選び方のご参考になれば幸いです。


▲京都市右京区にある ビーパックス

フィルム専門店の域を超えた専門店

カーフィルムやコーティングの施工など、法律上の整備作業にあたらない自動車の美観に関するサービス全般を「カーディテイリング業」と呼ぶことがあります。その専門店であるディテイリングショップの中には、カーフィルムだけ、コーティングだけといった単一サービスに特化していたり、ディーラーや中古車販売店からの下請けを主事業としている、ショップを構えずに個人で作業を請け負っている、といったケースも少なくありません。
そうした中、カーフィルムはもとよりコーティングや内装ケア、果てはカーセキュリティやオーディオといった電装関連まで、幅広くカーアフターサービスを提供するのが京都市右京区に店舗を構えるビーパックス(井上和也代表)です。

まだカーフィルムというとスモーク全面貼り(フルスモーク)が多く見受けられた1992年に創業。カーフィルム、コーティングを中心に井上代表一代で築き上げた、いわゆる「カーフィルム専門店」の域を超えた同社には、各種施工メニューごとに熟練の技術を持つ施工スタッフが在籍するほか、カーユーザーをもてなす明るく開放的な接客空間、ノウハウ豊富なフロントスタッフも常駐。確かな技術に基づく施工のみならず、各サービスに関して事前案内から施工後のフォローまで徹底してユーザーファーストが心がけられており、地元京都を中心に県を跨いだ来店客も少なくなく、大衆車から高級車まで「愛車をキレイに・快適にしたい、大切にしたい」というカーユーザーに支持されています。

カーフィルムのほか、セキュリティやオーディオといった電装関連から最新のセラミック系製品を
活用した高級コーティングまで幅広いカーアフターサービスを展開

モダンなデザインで、明るく清潔感に溢れる店内の接客スペース。車種専用設計の高品質なシート
カバーや運転専用サングラスなども販売している

外部と締め切られた作業スペース。熟練スタッフが各作業に勤しむ

ゴーストがカーフィルムの世界へと誘う呼び水に

プライバシー性を高めるスモークフィルムはもちろん、遮熱やUVカットといった機能性を付与する透明遮熱フィルムを含め、ビーパックスでは長年メインサービスの1つとしてカーフィルムを取り扱ってきました。その同社では、2019年から「ゴースト」シリーズの取り扱いを開始。当時、海外ブランドの類似品も含めて一部カーユーザーの間で「反射するカーフィルム」が流行し始めてきた中、顧客からの問い合わせが増えたことをきっかけに導入。従来の同社方針通り、フィルムを施工した状態で可視光線透過率70%以上という法規定をクリアできる車両・製品のみを対象とし、カーユーザーに対してはフロントスタッフが製品特性や法規定を丁寧に説明することで、フロント3面へのカーフィルム施工で起こりうる車検に関するトラブルなどもないままゴーストの施工件数を伸ばしてきたそうです。

近年(2021年4月~22年6月)では、同社でのフィルム施工においてスモーク、透明遮熱に続いてゴーストが全体の約12%を占める程にその取り扱い件数も拡大。鮮やかなデザイン性が目を引くゴーストは、高級感や個性を愛車に添えたい輸入車オーナーを中心に幅広いカーユーザーから問い合わせ・施工依頼が舞い込んでいます。
そうしたゴーストブランドや具体的なフィルム製品を指名する新規顧客はもちろん、ゴーストのデザイン性目当てで来店したユーザーが他社製品を含むフィルムの遮熱機能に関心を示したり、コーティング施工客が代車に施工してあるゴーストに興味を持ったりするケースも少なくないそうで、フロントの広瀬一彦チーフアドバイザーは「他の製品・サービスとの相乗効果が生まれており、ゴーストがカーフィルムの世界を知ってもらう呼び水になっている」と、ユーザーニーズに応えると同時にショップ経営にとってもゴーストが大きな役割を果たしている現状を明かします。

そして目下同社において新たな目玉商品の1つになっているのが、2021年末に登場した「ピュアゴースト」シリーズです。ゴーストシリーズの中でも国内製造の高い品質が魅力で、現在はブレインテックにて現行全国産車への適合試験を行った「ML91(PURE)」や、遮熱性能が付加された「IRML88/90(PURE)」をラインナップ。ビーパックスでは従来から扱っている「ゴーストⅡネオ79」に加えてこのピュアゴーストを取り扱っています。

同社はピュアゴーストについて、UVカット・遮熱性能などの機能面に加え、その品質を高く評価。特にフロント3面のうち運転席・助手席は、純正ガラスの状態で可視光線透過率が法規定の70%に近い車種も少なくなく、カーフィルム施工による透過率の減衰幅を抑える必要があるため施工できるフィルムが限られています。また、ゴーストに限らずカーフィルムはその製品特性上、製造管理の品質が製品の仕上がり品質に影響しやすく、生産ロットによって透過率が若干ながら変動するといったことも。その中で広瀬チーフアドバイザーは「国産ゆえの安定した高い品質により、可視光線透過率がシビアな運転席・助手席にも施工できる可能性が高くなった。今までよりも一層、ゴーストの魅力を提案しやすくなった」と話します。

スモーク、透明遮熱タイプを中心に豊富な施工実績を持つ同社。ゴーストの存在感は年々高まってきているという

高級感を求めてか、輸入車オーナーからの依頼が多いというゴースト。ただ、全般的にはカーフィルム全体の客層と大差なく、幅広いユーザーに支持されているという

施工客に貸し出す代車にもゴーストを施工。代車でゴーストに興味を持ったり、内側からのクリアな視界に魅力を感じるユーザーも少なくないそう

長年同社のフロント業務を務めてきた広瀬チーフアドバイザー。「お客様にも安心感とともにご案内できる」と新しいピュアゴーストシリーズに信頼を寄せる

専門店だからこそ、適切なゴースト施工を

カーユーザーにとっても同社にとっても大きなメリットをもたらしているゴースト。ただ井上代表は、実は導入に際しては同社内でも慎重に議論を重ねたと振り返ります。その1つのポイントが「法令遵守」です。

井上代表は、特に2003年に道路運送車両法改正を機に罰則規定が設けられて以降、専門事業者らで構成される業界団体への参画なども通じ、精力的に「合法的なカーフィルム施工」を訴えてきました。カーユーザーに対しても、自社ショップ店頭はもとより、専門雑誌や最近では動画共有サイトなども活用して法規定や車検対応などカーフィルム施工にまつわる情報を解説、発信。単純な施工ショップ代表にとどまらず、カーフィルムの健全な普及に尽力してきた業界キーパーソンの1人でもあります。

そうした業界に精通する井上代表ゆえ、ゴースト導入時については「1990年代のプライバシーガラスの登場(=スモークフィルムの需要減少)に続き、2003年の改正道路運送車両法で多くのカーフィルム事業者が苦境に立たされた。そうした業界の経緯もあるため、ゴーストを含む“反射で色が見える多積層フィルム”に対し、可視光線透過率の規定を守らない違法施工や違法施工店が増えてしまうこと、ひいてはそれがさらなる規制強化へ繋がる可能性があることへの懸念の声が業界内にあった」と振り返ります。

他方で、その環境下でもゴースト取り扱いの決断を後押ししたのは、それもまた法令遵守への高い意識です。徹底した合法カーフィルム施工と健全な市場啓蒙に注力してきた同社だからこそ、「法令遵守する施工店で取り扱わなければ、ゴースト希望客は違法ショップに流れてしまう。”法令遵守する専門店”こそ、正しい知識に基づいてゴーストを含めたカーフィルムを施工し、ユーザーニーズに応えるべき」(井上代表)と確固たる想いの下、導入に踏み切りました。

そして、井上代表にとってゴーストとの出会いは、施工収益の増加や新規顧客獲得といった自社ビジネス面よりも大きなメリットがあったと語ります。「自社製品のみならずフィルムという素材・製品に関して造詣深く、カーフィルムを取り巻く法令やその運用実態、可視光線透過率測定器をはじめとした各種機器や光学特性、そしてカーフィルム市場の将来図を持ち合わせている宮地代表は業界内でも稀有な存在。彼との出会いは国内でカーフィルムの普及に微力ながら努めてきた1人として大きなメリットに感じている」と力強い言葉を残します。

こうした井上代表の想いはスタッフにも共有され、可視光線透過率の測定や証明書の発行はもとより、フロント3面へのフィルム施工時は、ユーザーの整備入庫先をヒアリングした上で、一部近隣ディーラーなどによっては事前に入庫可否をユーザー自身に確認してもらうなど、施工後のユーザーのカーライフも見据えたカーフィルム販売を徹底しています。

また可視光線透過率測定器に関しても、陸運局で車検の際に使用されており、ブレインテックも推奨する新型測定器「PT-500」を新たに導入しました。今なお、フィルム施工車両を巡っては陸
運局での車検不適合やディーラーなど整備事業者への入庫拒否といったトラブル事例が実際に発生しうる中、「正確な可視光線透過率測定」はフィルム施工ユーザーの円滑なカーライフを支える強力なサポートになります。PT-500はただでさえ機器が高価なためカーフィルム専門店でも保有するショップは少ないのが現状ですが、同社ではブレインテックを通じて「日本電気計器検定所(JEMIC)の校正証明を取得したPT-500」を採用するなど、透過率測定の正確性に並々ならぬこだわりを見せます。

そんな30年におよんでカーフィルムの健全な普及に邁進してきたビーパックスと、登場間もなく爆発的なユーザー人気を巻き起こしたゴーストのタッグ。単なるカーフィルム・施工ショップの枠組みを超え、日本における”健全なカーフィルム普及”を一段と加速させるかもしれません。

可視光線透過率規定のあるフロント3面へのフィルム施工について、その有益性や合法的な施工を業界内問わず広く発信し続けてきた井上代表。店舗においては、同氏の理念を共有するスタッフが丁寧な顧客対応を実施

プロが集う業界イベントにて、「国内カーフィルム市場の未来」をテーマに声を交わすブレインテック宮地代表(左)と井上代表(右)

可視光線透過率測定器 PT-500

取材協力:ビーパックス 京都

2022 取材当時